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    【真由】「すみません紗香さん。せっかくお昼誘ってもらったのに」

    【紗香】「いいよいいよ気にしないでー」

    【紗香】「可愛い女の子の転校生だもん。昼休みは引く手あまただったでしょ?」

    【真由】「可愛いなんて。普通の転校生の扱いでしたよ」

と苦笑う。

     【悠】「いやいやそりゃもうすごかったよ」

     【悠】「真由が歩くとモーゼが歩いたみたいに人が割れてさ」

     【茜】「ん? それって褒め言葉なのおにぃ?」

    【真由】「やめてよ悠くん。逆に避けられてるように思われるじゃない」

ちなみに真由は俺と同じクラス。

なんというか、うん……。

偶然って恐ろしい!

そして真由って呼び慣れなくてちょい恥ず。

    【真由】「でも本当にすごかったわね」

    【真由】「『転校生様のお通りだー、道をあけーい!』って」

     【悠】「あぁ、中山がやったやつな」

     【悠】「基本的に悪いやつじゃないんだ。ただノリがうざいだけで」

そしてそれに乗っかるクラスの連中。ノリがいいのも考えものだよな。

     【悠】「まぁ普通の転校生よりは人気者だったと思う」

真由自身も人当りよく接していたし。

少なくとも敬遠されてるみたいなことはなかったと思う。

    【真由】「ならよかった」

    【真由】「悠くんがそう言ってくれるなら安心」

言葉通り安心したように笑う。

う……。

だからその笑顔はやめて!

……いろいろもう、なんかアレ……。

子どものころの甘酸っぱい思い出とか、ね……?

    【紗香】「でも変わったねーまーちゃん」

    【紗香】「すっごくかわいくなって最初わからなかったよ」

     【悠】「俺はすぐわかったけど」

     【悠】「あっ、真由ちゃんだ、すげー可愛くなってる! って」

    【真由】「悠くんも変わったねー。昔はそういうこと言ってくれなかったのに」

     【悠】「まぁ子どもだったしね」

子どもの時は純粋というか大人しかった。

というかヒネくれて人見知りまくってた。

    【真由】「でも私も驚きました」

    【真由】「紗香さんの方こそすごい綺麗になってるし」

    【真由】「茜ちゃんも。小さい時のイメージからそのまま可愛く大きくなって」

    【紗香】「えへへ。ありがと」

     【茜】「あ、ありがとうございます」

なんて褒め合う真由たち。

まぁみんな本当に可愛いから変なツッコミはすまい。

でもほんとに変わったなぁ、真由。

……うん、すごい綺麗になった。

いろいろ成長もしたしな!

さやねぇと茜は一緒に育ったからそんな意識したことない分、余計にそう思う。

いろいろ成長もしたしな!

    【紗香】「それよりまーちゃん、お願いがあるんだけど」

    【真由】「はい、なんでしょう?」

    【紗香】「わたしのことは『紗香さん』より」

    【紗香】「昔みたいに『紗香お姉ちゃん』って呼んでほしいなー」

    【真由】「あ……」

    【真由】「うん、紗香お姉ちゃんっ」

    【紗香】「はい、まーちゃん。えへへー」

可愛い女の子が笑い合う、ダブルで。

良きかな良きかな、絶景かな。

……でもこっちは。

     【茜】「そわそわ、そわそわ」

     【茜】「そわそわそわわ」

俺の背中に隠れる茜。

     【悠】「やめろ茜。俺の服をぎゅっと掴むんじゃない、可愛いだろ」

     【茜】「な、なに言ってんの?あたしがカワイイのなんて当たり前じゃんっ」

     【茜】「それにあたしがおにぃの服を掴んでるんじゃなくて、おにぃの服があたしを掴んでるの」

こえーよそれ、新種の妖怪か。

茜はこう見えても内弁慶っていうか人見知りっていうか。

俺とかさやねぇとか仲のいい友達としか話せないからなぁ。

そういうところで血筋を発揮しなくていいのに。

よし、ここはお兄ちゃんとしてちゃんとフォローを……。

    【真由】「茜ちゃんも久しぶりー」

    【真由】「って言っても覚えてないか、十年も前だもんね」

     【茜】「ごめんなさい、覚えてなくて……」

     【茜】「あ、でも一緒にビニールプールで遊んだの覚えてる!」

    【真由】「そうそう、悠くんたちの家の庭でね。なつかしー」

     【茜】「水鉄砲でおにぃを撃ったりしてさー」

     【茜】「そしたらムキになっちゃってホースで水飛ばしてくるし」

    【真由】「その後『市街戦だー!』って家の中で撃ち合ったりして」

     【茜】「あったあった」

     【茜】「しかもその日ちょうどお父さんたち帰ってきてめっちゃ怒られたりね」

と和気藹々と言った感じで話が弾む。

    【紗香】「心配なかったみたいだね」

     【悠】「あぁ」

こっちはこっちでこそこそ耳打ち。

心配しなくてもすぐ打ち解けたみたいだ。

というかあれは真由のおかげだよなぁ。

ちゃんと話しやすい話題を茜に振って緊張をとかせてたし。

     【茜】「それでみんなでセミ取りした時、あたしが真由ねぇの背中にひっつけたんだよね」

     【茜】「そしたらもう大慌てで、服脱いできゃーきゃー言ってさー」

    【真由】「ちょ、ちょっと茜ちゃんっ……その話は!」

いやいやいきなり打ち解けすぎじゃない?

茜の呼び方が『真由ねぇ』になってるし。

というか真由の方がいじられ役になってるし。

    【紗香】「はいはい、二人だけでじゃれつかないでわたしも入れてほしいなー」

    【紗香】「ところで朝ばたばたして聞けなかったんだけどさ」

    【紗香】「なんでまーちゃん急に引っ越しちゃったの?」

     【茜】「そうそう、いきなりいなくなってびっくりしちゃった」

     【茜】「おにぃなんて寂しくてびーびー泣いてたしね」

     【悠】「兄の1000%ラブチョップ!」

     【茜】「あでぇ!」

    【真由】「ちょっと悠くん?ラブってついてても女の子にそんな……っ」

    【真由】「ってえ? 悠くんが泣いて? え?」

     【悠】「俺も聞きたいな。教室じゃクラスの連中から質問されてて聞けなかったし」

妹への口止めから華麗に話題を転換。我ながら素晴らしい流れだ。

まぁ俺も失恋という思い出があるのは別にして、ちゃんと聞きたい。

    【真由】「えと、えっと……」

    【真由】「あー、それじゃ引っ越しの理由から話すね」

と迷いながらも素直に話し始めた。

    【真由】「実は急じゃなかったんだよね、引っ越し」

    【真由】「一か月くらい前からお父さんの単身赴任が決まってて一緒にいくことになってたの」

    【紗香】「へー、そうなんだ」

    【真由】「でも私、その時小さかったからよく意味がわかってなくて」

    【真由】「田舎のお祖母ちゃんたちの家に遊びに行くくらいにしか考えてなかったんだ」

     【茜】「きゃはは。それは気づきなよ真由ねぇ」

    【真由】「その時は本気で思ってたの」

    【紗香】「でもまーちゃんのお父さんたち、引っ越す話しなかったのかな? うちの親とかに」

     【悠】「俺たちも小さかったからなー、親から説明されてもわかんなかったのかも」

    【紗香】「あー、なるほどね」

     【悠】「でも納得。急な引っ越しにはそんな事情があったのか」

それなら一安心。

     【悠】「…………」

安心……?

……いやいや、俺はなにに安心してるんだ?

引っ越し=振られたってわけじゃないぞ。

というか振られたて……。

別に真由と付き合ってないし、告白とかしたわけじゃない。

子どもだから当たり前と言ったら当たり前だけど。

だから安心なんてする必要ないわけで……。

……そもそも、なんで俺はこんなに気にしてるんだ?

なにを俺は気にしてるんだ?

     【悠】「…………」

え? なに?

もしかして俺、今も真由のこと……。

    【真由】「さっきからぼーっとしてるけど大丈夫? 悠くん」

     【悠】「おおう……っ」

     【悠】「悪い、少し考えごとしてた」

    【真由】「そ。それならよかった」

     【茜】「まったく、このおにぃは」

     【悠】「うるせ」

けどびっくりした……。

真由のこと考えてる時にいきなり本人の顔がドアップだ。

もうびっくりしすぎて悩んでたの忘れたし。

……なんて都合よくいかないけど。

とりあえず、この問題は保留にしておこう。

…………。

……保留ばっかだな、俺。

    【真由】「で、今回戻ってきた理由なんだけどね」

    【真由】「ちょっとお祖母ちゃんが腰を痛めちゃってさ」

    【真由】「うちの家、今お祖父ちゃんしかいなくて看病するのも一人じゃ大変だろうって」

    【真由】「それで私とお母さんが手伝うために引っ越してきたんだ」

    【紗香】「まーちゃんの家って確か神社だったよね? お山の上の」

    【真由】「うん。だからたまには遊びに来てね」

    【真由】「私、時々神社の手伝いしてるから。おみくじとか引きに」

     【茜】「おー、神社の手伝い」

     【悠】「すげー、リアル巫女さん初めて見た!」

    【真由】「あくまで手伝いね、手伝い」

    【真由】「ただ巫女さんの服着て、竹ぼうきで掃除したり。おみくじ売ったりするだけ」

    【真由】「バイトの巫女さんと変わらないよ」

照れてるんだろう、頬を赤く染めながら謙遜する真由。

    【紗香】「でもだよ?ということはまーちゃんも巫女さんの服着るんだよね?」

     【悠】「これは是非とも見に行かないといけないなぁ二人とも」

     【茜】「あったりまえじゃん」

     【茜】「もう携帯の容量がなくなるくらい写真撮ってあげる」

    【真由】「くす。なら綺麗にお願い、うちの神社のポスターにするから」

そんな話をしてるうちにいつもの公園前に。

     【悠】「確か神社ってこっちの道だったよな。ってことは真由もこっちの道?」

    【真由】「そうそう。今お祖父ちゃんたちの家に住んでるんだ」

    【真由】「それじゃあまたね、みんな」

     【悠】「あぁ、それじゃあまた」

そして別れようとするけど。

     【悠】「っとそうだ」

     【悠】「引っ越してきたばっかりでまだコンビニとかスーパーわからないだろ?」

    【真由】「そうねー。何と言っても十年だし」

     【悠】「だったらなんか買い物する時言ってくれ、いろいろ教えるから」

真由は初恋の相手で。

いい格好をしたいという少しばかりの下心はあるけど。

ただ単純に力になりたかった。

    【真由】「いいの? ありがと」

    【真由】「それならさっそくだけど……明日お願いしていいかな?」

    【真由】「スーパーとか、服屋さんとかいろいろ知りたいんだ」

     【悠】「オッケー。ならまたあとで詳しい時間とかメール送るから」

ちなみにすでにアドレスやらは交換済みだ。

    【紗香】「それってわたしたちもついていっていい?」

    【紗香】「女の子は何かと必要だからねー」

     【茜】「あたしも行きたいっ」

     【茜】「でりかしーがないおにぃに任せたら心配だし」

     【悠】「よし、お前は荷物持ちな」

    【真由】「くす。ありがと」

    【真由】「なら紗香お姉ちゃんと茜ちゃんにもお願いするね」

    【紗香】「おっけー」

  【紗香&茜】「まっかせてー」

    【真由】「じゃあそんな感じで。また明日ー」

手を振りながら去っていく真由に。

こっちも手を振って見送った。

姿が見えなくなると、振っていた手が少し名残惜しい。

ってどれだけ寂しがってるんだ俺、明日会えるのに。

    【紗香】「明日みんなでお出かけかー。たのしみー」

     【茜】「それにしてもやるねぇおにぃ」

     【茜】「案内したいとか言いつつデートに誘うとか、にしし」

    【紗香】「あ、そういうことだったのゆーちゃん」

    【紗香】「ならわたしたち邪魔しちゃったかなー?」

     【悠】「別にー。さやねぇは最初から誘う予定だったし」

     【悠】「あーでも生意気な妹だけが邪魔だなー、妹がいなかったら両手に花だったのになー」

     【茜】「なにおーっ」

     【茜】「カワイイ妹に服とかご飯とかアイスとか映画とかおごれるチャンスなんだから
光栄におもえー」

ぽこぽこ軽いパンチを繰り出す茜をいなしつつ。

優しい笑顔のさやねぇに見守られつつ。

俺も楽しみに思いながら家へと帰った。