【芽美】
【真守】
【芽美】
【芽美】
【真守】
【芽美】
【真守】
【芽美】
【芽美】
【真守】
【真守】
【芽美】
【真守】
【芽美】
【芽美】
【芽美】
【真守】
【芽美】
【芽美】
【真守】
【芽美】
【真守】
【芽美】
【真守】
日も暮れかかった時間。
僕は気分転換をかねて食材の買い出しに行こうと思った。
「うげっ」
すると日向荘を出たところで、ばったりと芽美ちゃんに出会った。
「ああ、芽美ちゃん。今日も学校だったんだね。おかえりなさい」
昼間、ふと芽美ちゃんは何をしてるのかなと思って探したんだけど、
いなかったのだ。
なるほど、学校に行っていたというなら、いなくて当たり前だ。
「……ただいま」
明るく笑いかける僕とは対照的に、
じりじりと距離を取って、僕を睨みながら通り過ぎようとする。
「……さよなら」
好意的に解釈できないくらい、警戒感むき出しだ。
「ちょちょ、ちょーっとっ! なんでそんな警戒してるの?
僕何もしてないよね? ただ挨拶しただけじゃないか!」
そのまま中に入っていこうとする芽美ちゃんを慌てて呼び止めた。
「なによ? なんか用?」
「うぅ、いくらなんでもひどくない? 僕でも少しは傷ついちゃうよ」
「そんなの知らないわよ。勝手に傷ついてれば?」
芽美ちゃんがジロッと虎のような……というのは少し言い過ぎか。
いいとこ子犬程度の迫力しかないけど、それでも睨んでくる。
「あたしはお姉ちゃんと違って甘くないから。
変質者にうかつに近づいたら、いつ襲いかかってこられるかわかんないじゃない」
「いや、だからさ……僕は確かに変態だけど、
女の子を襲うようなことはしないって」
「あ、そうだ。これから僕スーパーに買い物に行くんだけど、
芽美ちゃんも一緒に来ない?」
「……はぃ?」
「今日も図書委員のお仕事してたんでしょ?
頑張ってるご褒美に、お菓子買ってあげるよ」
「今日日、お菓子くらいで釣れる子供なんていないと思うんだけど」
あ、これはまずったかもしれない。
芽美ちゃんの目が、さらにジトーッと細められる。
「ていうか、あんまり子供扱いしないでよね。あと気安く声もかけないで」
「それからついでに言っとくけど、いい?
お姉ちゃんに手を出したら、許さないからね?」
「手、手を出すって……僕は別にそんなこと……」
成り行きとはいえ、もう手は出しちゃってるんだよなぁ。
でもそんなこと、芽美ちゃんに言えるわけがないし、
僕は苦笑いを浮かべることしかできない。
「お姉ちゃんにも馴れ馴れしくしないで。あたしたちは住人、あんたは管理人」
「別段仲良くする義理も義務もないの」
「で、でも一緒の場所に住むわけだし……仲がいいに越したことはないと思うよ」
「それが変態でなければね?」
「う゛……」
たしかに、芽美ちゃんは加藤さんや歳田さんとは仲がよさそうだ。
僕にだけだ、こんなにツンケン……いや、敵意むき出しなのは。
「分かった? 理解したなら、どうぞ買い物に行ってらっしゃい。ひ・と・り・で」
芽美ちゃんはそう念押しして言うと、
クルリと踵を返して日向荘の中に入っていった。
「……ぐはぁ……だめだ。本気で嫌われてるよ……。
これはもう、挽回不可能なのかなぁ……」
自業自得とはいえ、悲しいものがある。
僕は深くため息をつきながら、スーパーへと向かうのだった。